初夏の乾いた風が吹く、ヨーロッパの地、ベルリン。
私たちTHE TERROIRは、日本の藍を携え、この地で開催された展示会へと赴きました。
産業化による効率化を推し進め、世界の産業を牽引してきた欧米。しかし、現地で私たちが直接肌で感じたのは、彼らの根底に流れる日本の「クラフトマン」的なモノづくりに対する、非常に深く、熱烈なリスペクトでした。
展示会場で多くの方と対話を重ねる中で、「ジャパン・ブルー」という言葉に象徴される日本の藍への共鳴を幾度となく実感しました。 土を耕し、藍を育て、蒅(すくも)を造り、自然の素材だけで色を建てる。その背景にある自然への畏敬の念を語るほどに、バイヤーやクリエイターたちの眼差しはより真剣なものへと変わっていきました。
そして、言葉や文化の壁を越え、私たちの藍の魅力を最もダイレクトに伝えられたのが、現地で開催した藍染めワークショップです。 今回、藍の染液を仕込むプロセスで特別な試みを行っていました。日本では、微生物の発酵を促すために日本酒を入れますが、このベルリンの地では、現地の「ビール」を使って藍を建てたのです。
日本の伝統的な技法と、ドイツの風土(テロワール)が交わる瞬間。 現地の水や空気、ビールをエネルギーに、異国の地で力強く発酵した藍の染液に布を浸し、ゆっくりと引き上げる。空気に触れた瞬間、緑褐色だった布がスッと深く美しい青へと変化する。 その瞬間に、会場に広がったのは、とてもシンプルで純粋な「ワオ(Wow)」という驚きと歓声でした。
頭でメカニズムを理解するだけでなく、その土地の風土や文化が溶け込んだ色が生まれる瞬間を共有すること。それがどれほど人の心を動かし、国を越えて直感的に響くのかを、ベルリンの人々の笑顔が教えてくれました。
ローカルな風土に深く根ざし、愚直に向き合うこと。それこそが、グローバルな舞台において世界と共鳴するための最大の武器であり、私たちの確固たるアイデンティティなのだと、この旅は強い確信を与えてくれました。
ベルリンでの濃密な時間を経て、遠く離れた地で分かち合った感動と熱量を胸に、私たちはこれからもこの場所で、揺らぎ続ける確かな「色」をつくり続けていきます。